『スカイクロラ The Sky Crawlers』
監督:押井守
主演(声):菊地凛子、加瀬亮
森博嗣原作の同名小説のアニメーション化。
思春期の姿のまま成長しないキルドレと呼ばれる若者たち。
戦争がショーとして行われ続ける架空の世界で、戦闘機のパイロットとして生きる彼らの物語。
原作を読んでいると、実際に散香(戦闘機)が飛んでいる姿がとても見たくなる。
だから、映像化すると知ったときはとても楽しみだった。
原作は、戦争を描いているにも関わらず、殺伐としたものではなく
とても「透明」な印象を受けた。
キルドレたちが空の上で見る世界はとても綺麗だと思ったし、戦闘シーンすら音を感じさせない。
それでいてスピード感があった。
果たして、この世界観がアニメーションとしてどう描かれるのか、とても興味が湧いた。
見終わって感じたのは、これは原作のキャラクターと設定を借りた全く別の作品だ、ということ。
もちろん、ストーリーは原作の流れに沿ったものなのだが、
なんだろう…視覚化したことによって、現実味を帯び、生々しさがでてきてしまったのかもしれない。
戦闘機による戦闘シーンは、考えていたより残酷なものだった。(当たり前なんだけど…)
機銃の音や風防が赤く染まるったりするのを見ると、これは戦争なんだってことを認識させられて辛かった。
ササクラの性別が変わってしまったこと(泣)、ラストが全く違っていることを考えると、
押井監督の世界観や解釈によって、新たに作られた「スカイクロラ」なんだろうと納得するしかない。
スカイクロラシリーズは、最後に出た「スカイ・イクリプス」まで何度も読んだものの
分からないことが多くて、このアニメ化したもので分かるんじゃないかと期待したけど、
結局やっぱり分からなかった…。
とっても透明な印象の小説なのに、どこか不透明でもあるのだ。
その点、アニメーション「スカイクロラ」は一応解釈次第で飲み込める物語になっている、かな、と。
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