『重力ピエロ』
伊坂幸太郎著
新潮社文庫
仙台を舞台にしたある兄弟の物語。
遺伝子関連の会社に勤める兄・泉水と二つ年下の弟・春。
母親は既に亡く、父親は闘病中。
春の出生を含め、ストーリーは重く暗くなりがちだが、兄の視点で描かれた物語は
普通の日記のような軽やかさで、重力から開放されたような不思議な印象を残す。
個性的なタイトルがつけられた各章が短いためかもしれない。
「重大なことほど陽気に話す」そのままな文章は、とても読みやすく、
それでも、いつしか、この小説の深みとある種の怖さ?に引き込まれていった。
読んだ小説が映画化されると、だいたいその映画が見たくなるのだけど、
これに限ってはあまり見たいと思わないのは、ビジュアル化することで直視せざるを得ないものが
ダイレクトに伝わるのではないかという不安があるからかも。
これで良いのか?という終り方だけど、気持の悪さは残らなかった。
« 師走朔日 | トップページ | COLORUN Vol.10 No.4 »
コメント