『豆腐小僧双六道中ふりだし』
京極夏彦著
角川文庫
こんなに無意味で愛らしくて怖くも恐ろしくもキモチ悪くもない妖怪がいたとは。
笠をかぶり、豆腐をもっているだけの小僧妖怪。
何するわけでもなくただただ豆腐を持っているだけ。
その豆腐小僧が己の存在意味についてすこおしばかり気になって
涌いた廃屋を抜け出した。
文章はまるで落語を聴いているかのよう。
現代落語家が古典をやっているような感じ。
まあ豆腐小僧のすることなすこと話すこと、妙に滑稽で
電車で読んでいると、思わず顔がにやけてしまった。
(きっと周りの人は不気味だったろう)
豆腐小僧の物語だけど、妖怪とはなんなのか、
豆腐小僧と一緒に色んな妖怪の話を聞いているうちに
"ああ、そういうことか"と見えてくる。
人間も妖怪もそれはもういろいろごちゃごちゃしてきて
最後はどうなるんだあ、と思っていたら
そこは主役の豆腐小僧が無意味なくせにきちんと締めてくれました。
"やるじゃん豆腐!"と思わず喝采。
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