『写楽―閉じた国の幻』
島田荘司 著
新潮社
「写楽とは一体何者か」
日本美術史上最大?の謎を巡る物語。
小説ではある。
小説ではあるけれども、かなり本格的な写楽の新説となっている。
筆者がずーっとあたためてきたテーマであるらしい。
佐藤という浮世絵研究家が写楽の正体についての本を出すことになる。
何故そうなったのか、というのは別筋の物語で
多分、今回の本筋は写楽の正体について、である。
ひとつの手掛かりから、予想を立て裏づけを探してゆくというのは
推理小説に似ていると思った。
答えを求めて車を走らせ、そこでまた新しい資料や発見をして、次の手掛かりへと向かう…
なんかそいういうの楽しそうだな、と思えた。
そして答えに近づいてゆく感覚、そういうのが感じられて面白かった。
そして、これはいかにも小説っぽいと思ったのが、
「江戸編」が含まれていること。
”写楽”の正体と思われる人物の江戸での出来事、
”写楽”が生まれたきっかけが書かれている。
当時の浮世絵師のことだけじゃなく版元のこと、歌舞伎役者のこと、
そういうことも書いてあって
浮世絵というのは絵師だけで完成というわけじゃないんだと思った。
版元・蔦屋重兵衛とおラスさんのくだりには、意外にも泣けてしまった。
ひとつ気になるといえば、たまたま知り合った人が美人で博学で
英語、オランダ語に堪能で、しかもタイミングよくオランダへ行く…
というのはちょっと都合良すぎないか、とは思ったけど。
←…((・(ェ)・;))
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