『氷の華』
天野 節子著
幻冬舎文庫
広大な敷地の邸宅に高級車と家政婦さん、そして見た目も仕事も言うことなしな夫を持ち、自身も美貌の持ち主で、人が羨むような何不自由のない生活を謳歌してるかに思える恭子。
夫・隆之が海外出張中のある日、その電話は突然かかってきた。
隆之の愛人だというその電話は、隆之の裏切りを伝え、恭子のプライドをこれでもかというほど傷つけた。
感情的になった恭子は決断する―この女を殺してしまおう―と。
事件は冒頭で起こり、読み手には犯人もその経緯も明らかなわけで、
ドラマ・刑事コロンボのように、恭子の犯罪を刑事・戸田がいかに突き止めるかという推理小説かな~と思いきや…。
もちろん、何も知らない分からないとこからの警察の捜査状況もこの小説の軸のひとつではあるのだが、
恭子が殺した真弓という女の本当の姿、果たして恭子が殺したのは本当に隆之の愛人?
そして、何よりもしかして恭子は何者かに嵌められたのでは…?
読者にもまだ見えていない本当の本当の真相が少しずつ見え隠れしてゆく、もう一つの軸。
最後は、「そうですか…。結局、そうですか…」と思ってしまうし、意見の分かれるところだろうけど
とにかく伏線が巧妙で、先を読みたくなる。
ちょっと時代錯誤的な印象も、何故か感じられたけど、小説としてドキドキハラハラ楽しめた。
ただ、家政婦の杉野さんのその後だけが心配…。
そして、前にupした『眠りの森』に続き、これも西武線沿線が結構出てくる。
東武東上線のホームについてはよく分からないけど、それでも雰囲気はよく知ってるだけに映像が浮かぶようだった。
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