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『空中ブランコ』

奥田英朗 著 

文春文庫

伊良部総合病院の御曹司にして、精神科医・伊良部一郎シリーズの2冊目。

…そう、2冊目だった。そうとは知らずこれから読んでしまった。

が、1話完結の短編ストーリーなので問題はなし。

(確か映画だったがドラマだったが、映像化してた気がする。)

主人公の伊良部がとにかくヘンな医者である。

病院の御曹司のくせに、受け持つ精神科は薄暗い地下にあり、

とりあえず…と訪れた患者は精神科のドアを開けた瞬間「いらっしゃーい」という場違いに高い声と、でっぷりと太ったその医者の姿に唖然とするのである。

さらに有無を言わせずビタミン注射、その注射をするのがミニの白衣のやけに肉感的な看護師だったりするのである。

患者は様々。

空中ブランコに乗れなくなったサーカスのブランコ乗りや先端恐怖症のやくざ、まっすぐ投げられなくなったプロ野球選手…などなど。

それぞれの物語が1話完結として描かれる。

伊良部の診療は適当だったり、本当かよ?と思えるようなものだったりして

はじめはまったくアテにしてなかった患者も、なぜかその診療…というより伊良部の非常識な行動や言動に振り回されているうちに、心のおかしくなった部分に気が付いてゆく。

だから、読んでいると、伊良部の数々の非常識な行動も「もしかして計算?」と思ってしまいそうになるが、やっぱり、「いやいや、それはないな…」と苦笑いで読み終わる。

どのストーリーも面白かったけど、義父のバレバレのヅラが気になって仕方のない大学病院に勤める伊良部の同級生の医師の話が特におかしくて、電車の中で吹き出しそうで大変だった。

なかなかめちゃくちゃな展開だけど、面白いし、読み終わって気持ちが良い、と感じる本だった。

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