『春信殺人事件』
高橋 克彦著
角川文庫
浮世絵研究家としても有名な高橋克彦氏の小説。
春信とは江戸時代に美人画絵師として活躍した鈴木春信のこと。
その春信の幻の肉筆画にからんだ詐欺事件が発端となる。
主人公は、美術作品専門の「捜し屋」仙堂耿介。
美貌の美術商・駒井みどりから、いわくつきの春信の肉筆画を持ったまま失踪したある男を探してほしい、と依頼される。
はじめは人探しは専門外だとしぶった耿介だったが、
「いわくつきの春信の肉筆画」に、かつて浮世絵の研究者だった血が騒ぎだす。
男が持ち去った肉筆画は、その男の仲介で大手商社に売ったものだったのだが、
贋作との疑いがとりだたされたものであった…。
東京、札幌、NY…失踪した男を追ううちにやがて新たな謎が…。
殺人事件とタイトルにあるだけに、殺人事件は起きているのだけど、
その犯人を見つける物語、という感じではなかった。
事象や人が入り乱れて、ちょっとついていくのが大変だった。
出てくる登場人物みんなが、なにかしたたかな気がして、怪しく思える。
誰と誰が組んでて、誰と誰が仕組んだのか、
最後に大どんでん返し。
筆者が浮世絵のことに詳しいだけあって、その辺の話は大変勉強になった。
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