『ピカソ 青の時代の殺人事件』
佐伯 泰英著
ハルキ文庫
ピカソといえば20世紀を代表するアーティスト。
ピカソはどんどんその作風が変わっていくが、
彼が有名になった最初の作風の頃を”青の時代”という。
その頃に殺人事件が?
…と思ったら、違った。
青の時代のピカソの作品が出てくる推理小説である。
発端は府中競馬場で天皇賞が行われた日に発見された焼死体。
高級外車の中で焼死体となった男は銃で撃たれた後、ピカソの作品「棺の中のカサヘマス」のように顔をペインティングされていた…。
被害者と見られるのは骨董店オーナー・阿澄林成。
そして容疑者はどうやら麻薬常習者の外国人。
担当となった府中署刑事の夏刈は、阿澄の店でアルバイトをしていた美術史を学ぶ院生・三枝しおりの協力を得て、ともにスペインへ向かう。
事件のキーとなりそうなピカソの絵を追ううちに、
ピカソの精巧な贋作が日本に持ち込まれている情報を得る。
日本、スペインそれぞれを舞台に贋作の謎と殺人事件の謎が入り乱れ
確信にせまりつつあったしおりに魔の手が伸びる…
…というようなストーリー。
佐伯泰英氏と言えば、歴史小説家のイメージだったので、こういう推理小説も書かれるんだー、とちょっと意外で新鮮だった。
佐伯氏はスペインに詳しいらしい。なるほど。
それにしても、担当刑事が”日本人にしては背の高い”爽やかで若い刑事さん(しかも剣道の達人)で、
協力者の三枝しおりは、外交官を父親に持ち、スペイン語フランス語英語を流暢に話し、
しかも美人で、しかも美術に詳しい…なんてちょっと出来すぎな設定じゃないかー
…と思わなくもない。
ストーリーはラストに大どんでん返しで、ちょっと反則ーと思わなくもないような。
ピカソのパリ時代がちょっと詳しくなれるかも。
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