『町長選挙』
奥田 英朗著
文春文庫
トンデモ精神科医・伊良部一郎シリーズ第三弾。
「オーナー」「アンポンマン」「カリスマ稼業」「町長選挙」の短編4編が入っている。
タイトルにもなっている「町長選挙」以外は
読んでると、あー、アノ人のことかな?
と、なんとなくみんながよく知っている著名人が浮かんでくる。
もちろん、小説なのだが、もしかしたら、実際こうなのかもねえ…と思わせる。
著名人ならではの苦労によって、伊良部センセイにお世話になるわけだけど
相変わらずの伊良部センセイ&マユミコンビで、
いつの間にか、患者それぞれ背負ったものが軽くなっていってく。
読んでる私は、センセイにも患者にも感情移入するわけでもなく、
第三者的に時に苦笑しながら、時に同情しながら、楽しめた。
「町長選挙」は、伊良部センセイが短期でやってきた
過疎の離島で繰り広げられる町長選挙がストーリーの中心。
これまた、小説だけに、とてもはちゃめちゃな選挙活動が繰り広げられているわけだけど
小さな集落だと、こんなこともあるのかなあ…なんて思えたりもして
出向の公務員・宮崎クンに同情してしまう。
伊良部センセイも絡んで、町長選挙はどうなるの!?
と、こちらもどきどきしながら読んでいたのに
(なんと投票日前日に島を挙げての棒倒し大会が…!)
ラストは、えー、ここで終わり!?という、憎い終わり方。
でも、上手い終わり方とも言える。
しかし、だんだん伊良部センセイのワガママ、そして見事な子供っぷりが強化されていくような…(^^;
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