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『目薬αで殺菌します』

森 博嗣 著

講談社文庫

Gシリーズ7作目。

ある製薬会社の目薬に毒物が混入される事件が発生。

その製薬会社から内部の調査を依頼された私立探偵・赤柳は、

毒物が混入されたとされる目薬の製品名に「α」が含まれていることで、

一連のギリシア文字が関わった事件との関連がよぎる。

一方、C大の加部谷恵美とその友人・雨宮は、大学からの帰り道、人気のない暗い道で死体を発見。

その死体の手には問題の目薬が握られていた…。

物語は主に、製薬会社に勤めている女性社員・倉居の目線、探偵・赤柳の目線、そして恵美の目線、それぞれで書かれ、進んでゆく。

探偵が謎を解き、関係者を集めて犯人を名指しする、いわゆるそういう一般的なミステリーとは違う。

倉居の描写なんかは、森ミステリーだなあ、と思う。

殺人事件はラストに一応犯人は分かるのだけど(逮捕されるされないは別として…)、

目薬毒物混入事件の方は、はっきり言ってよく分からない。

犯人は誰とはっきり書かれていないし、目的も何も不明。

(私の読解力の問題かもしれないが)

真賀田四季に関連していくのかどうなのか、その辺も一切見えず。

関わろうとする赤柳に対して、西之園萌絵が「自分のために関わらない方がよい、と思えるようになった」というようなセリフを言うが、

読者に対して向けられているような、著者からはっきりした答えはこの先も書かないぞと言われているような気がした。

(犀川先生や萌絵のセリフが答えだと言われればそうなのだろうけど)

ミステリーと言えば、このシリーズ一番のミステリー(謎多き人物)、海月及介が

加部谷恵美たちの元から去ってゆくニュアンスが、このシリーズの終わりを告げるようでもあり、結局なんだったのだろう、という様々な”謎”を残された感じがした。

しかし、恵美がねえ。まさか海月クンとはねえ。彼女のベクトルの先は山吹さんだと、私も思っていたよ。

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