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『ライトジーンの遺産』

神林 長平 著

ハヤカワ文庫

『戦闘妖精 雪風』を書いた著者の他の作品が読んでみたくて図書館で探し

何冊かあったのだけど、その中からとりあえず1冊。

”臓器崩壊現象”という生きながら臓器や体の部分が崩壊していくという現象が頻発している近未来。

人間は人造臓器の移植という手段によって生き残ることが可能になった。

その人造臓器研究の最先端企業・ライトジーンは、その研究を活かし、

やがて臓器だけではなく、完全な人造人間を作り出すことに成功。

同時にその人造人間には”サイファ”という超能力が備わっているということに着目し、

巨大企業はサイファを使って世界征服を企てるが、やがてその極秘の研究は犯罪とされ、

ライトジーンは解体。都市の名前にその名を遺すだけとなった。

その遺産とも呼べる、ライトジーンの研究によって産み出された人造人間、

強力なサイファを持つ菊月虹(キクヅキ コウ)がこの物語の主人公である。

”サイファ”という超能力を面倒くさいモノだと感じるコウは、基本的に自由とウィスキーを愛する”自由人”である。

だが、”サイファ”であることを知る警察官・シン タイイという食えない男に、人造臓器メーカーやその臓器が関わるトラブルの処理の仕事を依頼されたりする。

コウは、シン タイイの部下である若き警察官タイス・ヴィーとともにそんなトラブルを解決していく。

物語は基本、コウの1人称で語られる。

”ハードボイルドSF”…ってそんなジャンルがあるのか知らないけど、

まあそんな感じ。

設定とか世界観とか「雪風」読んだ時も思ったけど、空間、時間、そういう概念的なものが結構複雑に感じた。

神林作品ならではなのか、SF作品とはこういうものなのか、あまりSFモノを読んだことがないので分からないけど。

コウの一人語りが結構多くて、そんなトコロがハードボイルドっぽいといえばそうかも。

たまに出てくる台詞「ムフン」はここでも健在。

神林作品だーって思う台詞だ。

コウとタイスのコンビは、「雪風」のブッカーと桂城少尉ってイメージが私はした。

「雪風」読んだのだいぶ前だから、ちょっと違うかもしれないけど…。

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