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『犬神博士』

夢野 久作著 

角川文庫

一度、夢野久作の著作を読んでみたかった。

本当は『ドグラ・マグラ』を読みたかったのだが、あいにく図書館になく

とりあえず目についたこの作品を読んでみた。

なるほど、難解である。これ以上難解だというのであれば『ドグラ・マグラ』は読み切れないかもしれない…。

舞台は北九州。

周囲から奇異の目で見られ、扱われる通称「犬神博士」が己の生い立ちを新聞記者へ語るところから物語ははじまる。

おかっぱ頭に振袖をまとい、少女の形をした可愛らしい少年・チイ(後の犬神博士)は

路傍で歌や三味線を鳴らして、日銭を稼ぐ男女に拾われて育てられた。

「母親」の三味線と、「父親」の歌に合わせて、踊りの天才・チイが舞う。

夜中に”両親”が花札をやってるのを見て、その手をすべて覚えてしまったり、

警察に”風紀壊乱”だと見咎められ連行されたり、

嵐の夜に、泊まった木賃宿の亭主にすっかり搾り取られた”両親”の仇を取ったり、

その宿の亭主が殺され、宿が放火された事件の容疑者になったり、

かと思えば、炭鉱の利権争いに巻き込まれたり…

こう書きながらも、はっきり言ってよく分からなかったという印象。

台詞が福岡?の方言そのままで書かれているようで、表現がわからないものも多かったし、

で、結局どうなったわけ…?という結末も。

『犬神博士』は福岡の新聞に連載された作品とのこと。

しかも、やはり未完であるらしい。納得。

日清戦争前夜の、妙な興奮状態というのか暗いような不安なようなどこか落ち着かないような

そんな雰囲気が全体に漂っているように感じた。

うーん、夢野久作、難しい、かも…。他の作品読む自信なくなった。

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