創元推理文庫
紀田 順一郎 著
神田・神保町の古本屋の主人、須藤康平が主人公のミステリー。
ミステリーといっても、殺人事件を解決するとかそういう物語とはちょっと違う。
須藤が出している「本の探偵―なんでも見つけます!」という広告によって
須藤のもとにやってきた奇妙な依頼の顛末記である。
「殺意の収集」
「書鬼」
「無用の人」
「夜の蔵書家」
の4編が収録されている。
たぶん、時代背景が昭和50年代後半くらいの神保町で
全然、まったく想像がつかず、読み始めは雰囲気がつかめなかったが
読んでいると、意外に引き込まれていることに気づいた。
愛書家とか蔵書家とかいう人々とはこういう人たちなのかー、と初めて知って結構びっくりした。
今でもこういう人たちはいるのかなあ?
本好き、とか読書好き、とはまた違う、いわゆるコレクターというジャンル。
古本屋にしても、最近のブック○フとかとは違う、”書肆”という場所が舞台なわけで
私も本は好きだけど、全然違うジャンルだなあ、と知った。
神保町とか古書店街とかよく知ってる人なら、特に昔の神保町を知ってる人なら
より楽しめる作品かもしれない。
「夜の蔵書家」は一番長い作品で、本探しというより人探しな物語だが、
なんだか色んな人が、名前が、たくさん出てきて把握が難しかった。
それもそのはず…と納得するラストではあった。
やっぱりそうかー、そうじゃないかとうすうす感じたんだよねー、という感想は本音でもあり、負け惜しみでもある。
その”オチ”はミステリーとしては反則な気もするけれど。
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