『炎都』
柴田 よしき 著
徳間文庫
京都で、体内から血を抜かれ、ミイラのようにひからびた死体が発見されるという事件が頻発。
その頃、地質調査会社で技師として働く木梨香流は、依頼された水質調査によって、京都市に流れ込む川の異常な水位の低下に気が付く。
そして、突如発生した未曽有の大地震、そして、封印を解かれた古の妖怪たちが人々を襲い始める…。
読み始めは、推理小説かとも思ったのだが、読み進めるうちに、やっぱりファンタジーというかホラーというか、そんな感じの作品だった。
香流と、フラワーアーティスト・君之とのロマンスも少しあり。
この君之というのが、平安時代の一条天皇の転生した姿ということで、
この未曾有の大災害もその一条天皇に恋い焦がれ裏切られた花紅姫という姫のせいだというので、君之がなんとかしなければ、と立ち上がることは立ち上がるのだが、
どちらかというと、京都中を作業着で走り回り妖怪たちと渡り合う香流のがカッコいい!
主人公は、香流、なんだろうけど、視点が結構ちょこちょこ変わるし、
それぞれの”視点”となる人物がそれなりに重要な役割だったんじゃん、と後で気が付くけど、描写が香流ほど書き込まれていないので
途中で、この人は一体なんだったっけ…?と感じたりしてしまった。
ラストに行くほど、視点がコロコロ変わって、結末は、えーそんな、偶然ー!?
…こういうのを予定調和というのだろうか?
でも、読んでいて、眠くならなかったし、どんどん読み進めていたので、面白かったのだと思う。
ただ、描写がグロイところも多々。
君之を守るために現れ、やがて香流と行動を共にする、ヤモリ・朱星がカワイイ。
オスだったのか―…と最後に思った。
一応、完結しているが、続編もあるとのこと。
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