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『変人島風物誌』

多岐川 恭 著

創元推理文庫

『変人島風物誌』『私の愛した悪党』の二編が収録されている。

 
『変人島風物誌』

妙なタイトルだと思った。本当の名前はその形から「米島」というのだけど、
住んでいる人たちが奇妙な人ばかりのため、そう呼ばれるようになったという。

そんな島で起きた連続殺人事件の物語。

「変人島」に住んでいる小説家・栗林の弟子というか秘書・塚本によって語られる物語は
終始、です、ますで書かれているため、なんとなく宮澤賢治の書く童話の雰囲気がした。

話自体は全然童話ではないのだけど。

いきなり物語の登場人物の紹介から始まる。

もちろん、塚本によって、という形で。

島の地主で、偏屈で貪欲な狩谷、その妻・高子、娘の多美子、洋画家の志村、その妻・静枝、モデルのサユリ、元ピアニストの南条杜子、その母・好子、元博徒の薄田、その内妻・キヌ、足の悪い美少年・芦男、その世話係・康子、作家の栗林、その愛人・信子、島の巡査・近藤、そして塚本が主な登場人物で、

塚本いわく、他にも島には小作人やら、商売人やらがいるけど説明する必要はないでしょう、と。

つまりは殺人事件の被害者も加害者もこの中にいると最初から決まってしまっているという、私からすると”えー!?”なミステリーだった。

あ、配役が決まっている舞台を見ているようなものか…。

ストーリテラーとなる塚本が、もう少しまともかと思ったのだけど、で、大どんでん返し的なラストを期待したのだけどな。

塚本は、仕事らしい仕事をしてるようなしてないような感じで、

それでいて、狭い島の中で同時進行で何人とも付き合っちゃうような男だったりするわけで、

いわゆる事件を解決する、頭の切れる探偵という立場でもなく、

かといって他の登場人物の中にそういう人物がいるかと言えば、

う~ん…という感じで、一気に読めてしまうような吸引力はなかったな…。


『私の愛した悪党』
どこかのサイトのレビューにもあったけど、表題作よりこちらの方が感情移入しやすく、面白かった気がする。

まず構成が独特で、プロローグで、産まれたばかりの赤ん坊を営利目的のために誘拐した3人の男たちの話が語られる。

金銭の受け渡しに失敗した犯人たちは、次の機会を狙おうとしていたが、眠っていたはずの赤ん坊が忽然と姿を消してしまった…。

で、突然、エピローグ。20年後、美しく成長した赤ん坊は無事本当の親元に帰ってきたのでした、と。

で、ノユリという娘の1人称で、一体どうしてそうなったのかが語られる展開になっている。
時代背景が、たぶん戦後くらいの時代と思われるので、親子判定に血液型をすごく重要視していたり(今ならきっとDNA鑑定だろう)、

ノユリの”愛した悪党”万代海二のとてもほめられたものではないような稼ぎ方(今ならきっと訴えられる。もちろん当時でも犯罪だと思うけど…)とか、

今ではちょっと…というようなシーンもあるけれど、意外に映像化とか出来そうじゃない?ってちょっと思った。

うまく作れば面白い作品になりそうだけどなあ。

いわゆるミステリーとは一味違ったちょっとコミカルな小説だった。

↓『私の愛した悪党』イメージ図
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コメント

イヌイカさん、こんにちは☆
コメント、ありがとう。嬉しかったです。
夢の話を読んでて、「あるよね、あるよね。」と想いながら、後でゆっくり書こうとしてて今日になってしまいました。
「夢」って不思議ですよね。この頃は全く見ませんが…
自分が困っている時とか、多分、疲れててストレスを感じてる時に私も変な夢を見てました。断片的で話が繋がらない夢。
レム睡眠中に見てるんでしょうね。あまり、気にしない方がいい
かもです。
話は変わりますが、昨日、久々に人混みの中を歩いて来ました。
連れ合いさんと息子夫婦と一緒だったので、よけい疲れた感じです(笑い)
今日は、これから一人で出掛けます。リフレッシュしないと!です。

>peruさま

こんばんは~
夢って本当に訳わからないですよね。
気にするもんじゃないと分かってはいても、ついつい何か予知夢的なことがあるなじゃなかろうかい?とネットで夢診断とか検索してしまうイヌイカです

人混みって疲れますよねー!
たぶん、自分のペースで歩けないからなのかなって思いますけれど。
でも、連れ合いさん(ご主人様?)と息子さんとその奥様と一緒にお出掛けなんて、素敵ですね~
もちろん、ひとりでお出掛けも自由気ままで良いですよね。
リフレッシュされましたでしょうか?
私も秋の味覚を探しにお出掛けしたいなあ

コメントありがとうございました

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