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『密室殺人ゲーム王手飛車取り』

歌野 晶午 著

講談社ノベルズ

ミステリーマニアがネット上のコミニティで繰り広げる”リアル殺人推理ゲーム”。

ハンドルネーム<頭狂人><044APD><aXe><ザンギャ君><伴道全教授>はもちろん本名も素性も知らない同志。

ウェブカメラを使ってお互いの映像を見ながらチャットをしているものの、

映像も音声も当然変装したものや加工したもの、ペットの映像だから

実際の性別も年齢もまったく不明。

分かっているのは、全員がミステリーマニアであること。

机上の推理だけでは飽き足らなくなった5人が始めたのが、

それぞれ自分が考え抜いたトリックを使って殺人をおこし、そのトリックを他のメンバーが推理するという”ゲーム”。

とんでもないストーリーである。

小説とはいえ、この5人全員が殺人に対して、なんら罪悪感も感じてなくて、

とにかく他のメンバーを出し抜くようなトリックを仕掛けることを楽しんでいる感じがすごく不愉快だった。

このメンバーに対して最後に何かがあることを期待してなんとか読み続けたけど…。

確かにラストは大どんでん返しと言えば大どんでん返し。

ネタバレするので詳しくは書かないけど、

作者の問題提起と受け取れなくもないと、ほんのちょっぴりだけどホッとしたというかなんというか。

罰せられるとかそういうんじゃないから、まるっきりスッキリしたっとはならないけど。

ネット上で別人格を装うと、こんな感じにまでなっちゃうのかなあ…とか、

絶対実際にはあり得ないし不可能だとは思うのだけど、

万が一、こんな事起こっちゃった日には、かなりヤバイな…と怖い。

でもね、考えることは自由、想像は誰だってできる。

殺したいと思っても実際にはそうそう出来ないし、まず、理性的な判断力があれば実行しない。

だからこそ、その一線を超えない事と超えてしまうことは果てしなく大きな違い。

色んな意味で怖い本だったかも。

Otehishatori

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