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『神様が殺してくれる』

森 博嗣 著

幻冬舎

 パリの大学に通っていたころ、卒業を間近に控えた"僕"ことレナルド・アンペールの部屋に、新しいルームメーイトが先生に連れられてやってきた。

その頃1年生だった"彼"リオン・シャレットは、一目見たとたん目が離せなくなるほどの美貌の持ち主。

"男性とは思えないが、女性にしては美しすぎる"ほどの。

卒業後、インターポールで働くようになっていたレナルドに、突然警察から電話が入る。

パリで起きた殺人事件の唯一の目撃者が、犯人はレナルド・アンペールであると言っているというのだ。

その目撃者というのがリオンであり、リオンは警察に

「殺したのは神様」そして「神様の名前はレナルド・アンペール」だと語ったらしい。

もちろん、レナルドの身に覚えのない話であった。

さらに卒業までの半年だけルームメイトだったというだけで、

卒業後に会ったこともなければ、学生時代に特に親しく付き合っていたわけでもない後輩のリオンの口から

自分の名前が出たことに驚いたレナルドは、

その真相を確かめようとリオンに会いに行くが…。

 なんとも印象的なタイトルである。

どこか退廃的なイメージを感じさせるリオンと、彼を巡る人間関係。

ちょっと萩尾望都の世界のよう。

意識してないと思えば思うほど、目を離せなくなる怪しい魅力に満ちたリオンの存在がすべての元凶

…というようなイメージが終盤まで抜けなかった。

気が付いたのは、レナルドが犯人の名を呼ぶ数行前。

「ああ、そうくるか…!」と。

森マジックってヤツですかね。

リオンのイメージも、彼の周りにいた人々のイメージも、

そしてレナルドのイメージも、ぐるりと反転してしまった感じ。

そして、読み終わってまたもう一度読みたくなるのである。

(返さなきゃいけなかったので、読めなかったけど)

Kamisamaga

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