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『マンチュリアン・リポート』

浅田 次郎 著

講談社

『中原の虹』の続編。

「張作霖爆殺事件」の真相解明を極秘に命じられた若き陸軍少尉・志津邦陽の”報告書”と、

その事件の起こった時に使用された特別列車「鋼鉄の公爵(アイアン・デューク)」の”独白”と

それら二つの体裁によってあの事件のことが描かれる。

『中原の虹』を読んですっかり白虎張にホレていたので、

歴史的事実としてこの後起こるであろう爆殺事件を読むのが辛くて、ずっと読むのをためらっていた。

でも、読んで良かった。

そんな内容だった。

もちろん歴史的事実は変わらない。

歴史上の人物を描いた小説だから、その事実が変わることはないし、それはやはり悲しかったのだけど。

書き方が上手いのだろう。

最後まで白虎張はかっこよかった、というか白虎張だった。

読み終わって、何とも言えず哀しい印象が残ったのは致し方ない。

西太后の為だけにイギリスで作られた最高級の機関車「アイアン・デューク」。

ただ一度使われ、その次に”彼”が目覚めたのは25年後。

奉天へ撤退を決意した張作霖が彼を指名したため。

その旅が最期の旅になろうとは…。

かのお方の為に書かれた志津少尉の報告書は、「過去」の事件を調べた”報告書”(というか個人的な手紙に近い)であって、感情的に動かされることはなかったのだけど、

擬人化された「鋼鉄の公爵」の独白は本当に切ないものだった。

そして、最後に、あの春児が登場してくれたのが嬉しかった。

Manchurian

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