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『ベートスンの鐘楼 ~影の探偵と根津愛~』

愛川 晶 著

カッパノベルス

天才的な推理力と豊富な知識を持つ女子高生・根津愛と、中学生・大隈敦己の別人格、自称殺人鬼のナオが吸血鬼の影が見え隠れする不可思議な事件を解決する物語。

読んでいてもしかして…と思ったら、やっぱりシリーズ2作目だった。

なんとなく設定の説明なんかに”すでに知ってるよね”感が感じられたもので。

とりあえず1作目を読んでいなくても大丈夫な内容ではあったけど。

とにかくこの根津愛という女子高生が普通ではない。

合気道の達人にして、とんでもなく博識、料理の腕も一流で、その上、誰もが目を奪われるほどの美少女。

元凄腕刑事という父親の影響から、警察関係者の知り合いも多く、署内への出入りもフリーパス。

刑事たちも愛の推理を頼みにしてるという現実ならまあありえないと思われる設定。

そして、大隈敦己という子もスラリと背の高い、類稀な美少女。

ナオはそんな敦己の母親を殺し、事件現場で警察官に射殺された21歳の青年。

ナオ(と言っても敦己の別人格なのだが。敦己は自分の中のナオの存在に気が付いていない。)もまた鋭い推理力を持つ。

読んでいて最初、この小説はオカルトかホラー小説かと思った。

というのも、ギロチン首なし事件に始まり、埋葬したはずの遺体消失事件、過去に火葬場で息を吹き返したという出来事までが絡んでくる。

それらの事件に共通するのは、世界各地で伝えられている吸血鬼にまつわる伝説。

タイトルの「ベートスンの鐘楼」というのは、昔イギリスで発案された埋葬方法で、土葬された後、蘇った時のことを考えて作り出されたものとのこと。

複雑な人間関係、裏がありそうな人物たち、そして雰囲気満点の古い教会建築…。

おどろおどろしく、グロテスクな描写で、これはもうオカルトな解決になるのか?

…と思いきや、最後まで読むとちゃんと科学的だったりする。

途中あっちこっちとミスリードが続き、私のよーな素直な読者は振り回されるが、愛とナオが徹底的に解明してくれた。

そう、視点がコロコロと変わるので、すごく振り回された感じがしたのだ。

それにしても、愛に思いを寄せる刑事・桐野は情けなさ過ぎ。

背が高く、ルックスも悪くなさそうだったから、愛と共に活躍するんだろうなあ、と期待したのに。

吸血鬼関する記述は、私は知らなかったことばかりだったので興味深かった。

多少グロテスクだったけど。

でも、もしかして吸血鬼に詳しい人なら知ってて当たり前な知識なのかなあ。

Ainetsu

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コメント

イヌイカさんの前説には興味を覚えます。

今までの語りこちも楽しく読んでいました。

読まれる人に納得されますよ。

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イヌイカさんの前説には興味を覚えます。

今までの語りこちも楽しく読んでいました。

読まれる人に納得されますよ。

>Kohji-itoさま

コメント欄、システム障害起こってるようですね。
なんだかご心配お掛けしてすみません…って私が謝っても仕方ないのですけど
とりあえず、コメントちゃんと届いてます!
ありがとうございます

少しでも”本を読んでみようかな”という人が増えてくれるといいな、なんて思いながら、好きなコト書いてます

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