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『月迷宮』

赤江 瀑 著

徳間書店

タイトルと、カバーイラストの雰囲気が好きそうだったので読んでみた。

が、月はあまり関係なくてがっかり。

どちらかというと純文学というか、いや、ホラー的な要素も感じられた。

陰という意味での「月」というなら、そんなイメージがどの物語にも漂っている気はした。

少なくともどれも明るい物語ではない。

もっとファンタジックでルナティックな物語を期待したのだが…。

短編の物語がいくつか収録されていて、月に関係するのは表題作の「月迷宮」くらいだった。

どの話も、中心となる人物の詳しい人物描写を書いてくれていないので、

読み始めてもなかなかその話の舞台というのか枠組みみたいなものがとらえられず、

感情移入しにくくて、その世界に入り込むことが難しかった。

この話の語り手は、若いのか、若くないのか、老人なのか、何をしている人なのか、なんでここに居るのか、何をしようとしているのか、

読み取るのが困難で、物語が終わる頃になって、ようやくなんとなーく、そうだったのか、な?と感じ取れるような取れないような。(私の理解度が低いだけかもしれないが)

ホラー的要素を感じられると書いたけど、どのストーリーも、この世にいるようないないようなそんな人たちや、

必ずしも誰もが見れたり感じたりすることのできない事柄の話だったりするから、

あえて詳細をあきらかにしないで進めるという文体を取っているのかも。

「月迷宮」「瑠璃抄」「伽羅の燻り」「階段の下の暗がり」「緑陰の恐れ」「鸚鵡の年」「アネモネの国」「華燭の舟」「華厳」「櫻のあとさき」「海婆たち」

以上11編が収録されている。

Tukimeikyuu

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