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『数えずの井戸』

京極 夏彦 著

角川文庫

京極版「番町皿屋敷」である。

常に何かが欠けていると感じてしまい、何にも興味を持つことができない旗本・青山家当主、青山播磨。

そんな播磨によく分からないイライラを募らせるかつての悪友・遠山主膳。

ただただ誉められたいという思いだけで青山家を仕切る、御側用人・柴田十太夫。

産まれてからずっと小屋から出ることもなく、出るという考えすら持たず、米を搗くことだけしか出来ぬ三平。

そして、整った顔立ちだが、要領が悪く、どうしてもどこの奉公先からも暇を出されてしまう、菊。

ひとりひとりはそれぞれ懸命にその場所で生きようとしているのに、

それがなんだか生きづらそうに感じてしまう。

「番町皿屋敷」といえば、十枚揃いの家宝の皿を過って割ってしまった下女が、

お仕置きされて井戸に放り込まれ、たかが皿一枚の為に…うらめしや~

…と、夜ごと井戸から皿を数える幽霊の話で有名な怪談だから、

京極版とはいえ、番町皿屋敷が元であるならば、

終わりはハッピーエンドであるわけもなく、

そう思うと読んでいて楽しい気分にはならない小説ではある。

それは、おそらく、菊があまりに無垢で佳い娘だからでもあると思う。

何故、こんな娘が皿を数える幽霊なんぞにならねばならぬのか…?その疑問だけで読み進めた感じ。

青山家に仕えるようになった菊が家宝を割って井戸に身を投げるのか、

御手討ちされるのか、そんな話なんだろうなあ、と思い込んでいたから、

なかなか進まない話の筋にちょっとまどろっくしく感じたところもあり。

なんだかずっとあるんだかないんだか分からない家宝の皿を探してばかりに思えて、

皿はいつ割れるのだ!?とちょっとイライラ。

でも終盤、急展開。

この小説でのキーポイントとなるのは皿ではなく「井戸」だったのだ。タイトルにちゃんとある。

そういう流れになるのかと驚いた。もちろん、ハッピーエンドではない。

このリーズ(『嗤う伊右衛門』『覗き小平次』に続く三作目らしい)は、どれもラストは血まみれだ…。

播磨にしても、主膳にしても、十太夫も三平も菊も仙も吉羅も、

出てくる人物はみな不器用で、

もう少しうまく生きられなかったものかと切なく感じる物語だった。

Okiku

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