『図書室のキリギリス』
竹内 真 著
双葉社
ほのぼのとした表紙イラストとタイトルフォントに惹かれて読んでみた。
図書館司書さんのお話かな、と思ったら、(確かにそうでもあるのだけれど)想像とは違っていた。
主人公の高良詩織は、突然カメラマン志望の夫と連絡が取れなくなって3年、籍を抜いて心機一転をはかろうとしていた。
元ライターということで古巣の出版社から仕事を入れてもらったりしていたが、不況のあおりもありそうそうライターの仕事はなく、就職活動を始めようとしていた矢先、
高校の音楽教師をしている親友からその高校の図書館司書に空きが出たから応募してみないかと連絡をもらう。
資格がなくてもできる学校司書という枠で、学校の事務や雑務も兼ねるような仕事。
幸いにも採用された詩織が初出勤すると、司書室には丁寧に細かくつづられた学校司書の仕事についてのマニュアルがあった。
そのマニュアルには前任の学校司書・永田さんという人の、司書の仕事や図書室に対する想いがつまっていて、詩織は急に辞めた永田さんという人に興味を持つ…。
高校の図書室が物語のメイン舞台。
図書室にやってくる常連の生徒とのやりとりや、
初めは本に興味のなさそうな男子生徒が、一冊の本から可能性を広げていくような出来事、
なりゆきで図書館司書となった詩織だったが、生徒や永田さんや学校の色々な人との触れ合いのなかで、やりがいを見つけていくようなストーリー。
主人公が高校生ではないけれど、爽やかな青春の1ページを見守るような位置からの青春ストーリーという感じもある。
それでいて、詩織に焦点を合わせると、家を飛び出した元夫とのことなども触れられているので、そのあたりはオトナなドロドロ感もちょびっと感じるところではあった。
5章に分かれているが、どれもとても爽やかな、すっきりとした秋晴れのような話で良かった。
読む人によっては、ちょっと物足りないな~、キレイすぎるかな~、と感じる人もあるかもしれない。
図書室の話だけあって色んな本のことも出てくるのだが、
2012年にweb小説として出たものということで、そのあたり前後の本、村上春樹の「1Q84」とか、太田光の「マボロシの鳥」とかが話題に出てくるのが興味深かった。
その中で、「アンのゆりかご」というNHK朝ドラ「花子のアン」の原作の話題も出てくるのだが、『NHKの朝ドラにしてほしい!』みたいな文章も出てきて、予言か!?とちょっとびっくりした。
(ちなみにこの本は前述の通り2012年8月~12月のウェブマガジンが初出らしい。「花子とアン」は2014年放送。ということは…)
ちょっと、うまく行きすぎ?と感じたり、詩織がちょっと特別な力(といっても詩織にとってそれほど得になる力ではない、と語ってはいるが…)を持ってたりするところは、ファンタジーを感じたりしちゃったけれど、
図書館司書という仕事のことや、ブックトークとかブックテーブルといった趣向にとても興味を持つことができた。
双葉社
ほのぼのとした表紙イラストとタイトルフォントに惹かれて読んでみた。
図書館司書さんのお話かな、と思ったら、(確かにそうでもあるのだけれど)想像とは違っていた。
主人公の高良詩織は、突然カメラマン志望の夫と連絡が取れなくなって3年、籍を抜いて心機一転をはかろうとしていた。
元ライターということで古巣の出版社から仕事を入れてもらったりしていたが、不況のあおりもありそうそうライターの仕事はなく、就職活動を始めようとしていた矢先、
高校の音楽教師をしている親友からその高校の図書館司書に空きが出たから応募してみないかと連絡をもらう。
資格がなくてもできる学校司書という枠で、学校の事務や雑務も兼ねるような仕事。
幸いにも採用された詩織が初出勤すると、司書室には丁寧に細かくつづられた学校司書の仕事についてのマニュアルがあった。
そのマニュアルには前任の学校司書・永田さんという人の、司書の仕事や図書室に対する想いがつまっていて、詩織は急に辞めた永田さんという人に興味を持つ…。
高校の図書室が物語のメイン舞台。
図書室にやってくる常連の生徒とのやりとりや、
初めは本に興味のなさそうな男子生徒が、一冊の本から可能性を広げていくような出来事、
なりゆきで図書館司書となった詩織だったが、生徒や永田さんや学校の色々な人との触れ合いのなかで、やりがいを見つけていくようなストーリー。
主人公が高校生ではないけれど、爽やかな青春の1ページを見守るような位置からの青春ストーリーという感じもある。
それでいて、詩織に焦点を合わせると、家を飛び出した元夫とのことなども触れられているので、そのあたりはオトナなドロドロ感もちょびっと感じるところではあった。
5章に分かれているが、どれもとても爽やかな、すっきりとした秋晴れのような話で良かった。
読む人によっては、ちょっと物足りないな~、キレイすぎるかな~、と感じる人もあるかもしれない。
図書室の話だけあって色んな本のことも出てくるのだが、
2012年にweb小説として出たものということで、そのあたり前後の本、村上春樹の「1Q84」とか、太田光の「マボロシの鳥」とかが話題に出てくるのが興味深かった。
その中で、「アンのゆりかご」というNHK朝ドラ「花子のアン」の原作の話題も出てくるのだが、『NHKの朝ドラにしてほしい!』みたいな文章も出てきて、予言か!?とちょっとびっくりした。
(ちなみにこの本は前述の通り2012年8月~12月のウェブマガジンが初出らしい。「花子とアン」は2014年放送。ということは…)
ちょっと、うまく行きすぎ?と感じたり、詩織がちょっと特別な力(といっても詩織にとってそれほど得になる力ではない、と語ってはいるが…)を持ってたりするところは、ファンタジーを感じたりしちゃったけれど、
図書館司書という仕事のことや、ブックトークとかブックテーブルといった趣向にとても興味を持つことができた。
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イヌイカさん、こんにちは
ご紹介の本、とてもおもしろそうですね。
記事の説明から雰囲気がよく伝わってきました。
深く考えさせられる重めの話も悪くないけど、
爽やかな読後感の本は、読んでよかったという
気持ちにさせてくれますよね。
投稿: hanano | 2016年3月27日 (日) 17時29分
>hananoさま
おはようございます。
図書館で目的なく本を探すときは、タイトルとカバーの雰囲気で選ぶのことが多いので一種賭けです
(文庫や新書だと裏表紙にあらすじが書いてあるのですが…)
読んでみて、”面白い!”と思えたら、いい本に出会えてよかったな♪と得した気分になります(笑)。
読んだ後に、爽やかな印象が残るお話はやっぱりいいなあと思えますね
コメント、ありがとうございました
投稿: イヌイカ | 2016年3月28日 (月) 07時12分