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『片想い』

仕事が変わってから、ほとんど本を読んでいなかった。

読んでも棚にある何度も読んでいる本を再読するくらい。

余裕がなかったのかな。今でもないけど。

で、まとまった連休ということで、活字に飢えていた分を取り戻した。

またしばらく読めないだろうから…。

この『片想い』はこの連休に読んだものではないのだけど。

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東野 圭吾 著

文春文庫

大学アメフト部の同窓会のあった夜、哲郎はそこに出席していなかった元マネージャーの1人・美月と再会する。

久しぶりに会った美月は、面影はあるもののすっかり変わっていて、しかも「人を殺した」と告白するのだが…。

美月の親友で、もう1人の元マネージャー、哲郎と結婚した理沙子、チームメイトで美月の恋人だった中尾、やはりチームメイトで新聞記者をしている早田…

大学時代のメンバーと、美月の周辺の人物が絡み合い、単なる殺人事件では終わらない複雑なストーリーが展開される。

タイトルの「片想い」からは、全然想像できないストーリー。

甘くて苦いラブストーリーではなく、もっと深くて複雑な”ジェンダー”がテーマの物語。

男性の心を持っているのに、女性として生まれてきてしまったという人間やその逆の人間が、自分にとって正しいと思われる生き方を模索し、

同じような立場の人や、共感し助けようとする人が、うまく社会と調整しようとする仕組みを作ろうとするが、

それはなかなか難しく、これでもかというほど気をつかって、やっとうまく行っているように見えても、どこかに綻びが出れば、一瞬で仕組みが破たんしてしまう危うい状況。

犯人は本当に美月なのか、という謎と、この結着はどうつけるんだろう、という謎、

ラストに近づけば近づくほど、どちらかというと後者の謎に引き込まれていく。

そして「片想い」とはそういうことか、となんとなく納得。

すごく勝手な個人的見解としては、男性の心を持っているから、身体も男性でありたい、女性の心を持っているから、身体も女性でありたい、というのは分かるけど、

多分、それは周囲からの目を意識してのことで(性別はどうしたって見た目で判断されるから)、男性の心を持っている女性体でも、女性の心をもっている男性体でも、それはひとつの個性なのではないか、という気がする。

例えば、顔の綺麗な人やスタイルの綺麗な人を見て、ああなりたい、と思うことと同じなのではないか、と。

女性だからこうあるべき、男性だからこうあるべき、という固定観念がまだまだ深層では強いんだろうな。

…って、ジェンダーで悩む人にとっては、気楽な意見だとお怒りになられるのかもしれない。所詮、他人事だと。

そんな、難しい深いコトを思わず考えさせられてしまう小説ではあった。

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