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『綺譚の島』

小島 正樹 著

原書房

 戦国時代に起きた忌まわしい伝説が今なお島民の中で根強く生きている小さな島で、20年前に猟銃が暴発する事故が起きた。

事故の被害者である網元の長男が、事故の直前光る岩と浮かぶ鎧武者を見たという。

伝説の”一領具足”の怨霊を鎮める為に再び執り行われた忌まわしい儀式「贄の式」。

その翌日から「贄の式」の参加者たちが、この島に伝わる伝説になぞらえられたかのような死に方で次々と殺されてゆく…。

この孤島に本土から出向していた役場職員・高品とその後輩で自称名探偵の海老原が、過去の伝説と事故、今回の事件の謎に挑む。

…というか、海老原のひとり舞台である。

高品はワトソン役もいいところ。ほとんど島の観光案内人といった感じ。

伝わる伝説や儀式、島の雰囲気は暗くて重いのだが、どこか飄々とした海老原や本土からやってきた刑事・梶谷、この二人のやりとりなどが割と軽くて全体の雰囲気を変えてくれているようだ。

確かに仕掛けがいっぱいの大どんでん返しで、最後の最後まで興味は尽きなくて面白かった。

けど、物語として読ませるという感じは希薄で、これらトリックを種明かしさせんがための事件を描いた(表現が難しいな)、という感じもしなくもなく。

とにかくてんこ盛り感満載といった印象だった。

海老原という人物は興味深かったが、イマイチ具体的な姿というのが想像できなかったなあ。

舞台が知多半島沖に浮かぶ贄の島という孤島ということなんだけど、まったく別の作者によるミステリーの舞台も知多半島沖の別の孤島だったような気がする。

知多半島沖って孤島が多いのかな?

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