電車内でも思わずうるうるっと…
森沢さんらしい、爽やかであたたかいストーリー。
写真家を目指す慎吾と、ひとつ年上の彼女で幼稚園の先生の夏美。
夏美の運転するバイクでツーリング中、山の中で見つけた一軒の商店。
そのお店を営むヤスばあちゃんと、その息子で通称・地蔵さんこと恵三さんの計らいで
ひと夏をそのお店の離れで過ごすことになった慎吾と夏美。
何もない山奥だけど、どこか懐かしい自然の中で
慎吾は自分の撮りたい写真を思い出す…。
出てくる人々は、それぞれ事情はあるけど、悪い人はいない。
読んでると、この先何か悪いどんでん返しがあるのでは…?
などとへそ曲がりなワタシはつい不安になってしまうのだけど、
そんなことはなく、
そりゃ物語だからイロイロあるけど、でもきれいに落ち着いてくれる感じで
爽やかに泣けるというか。
風鈴の音、川の音、魚、ホタル、彫刻刀…どのイメージもきらきらと脳裏に映ってくる気がする。
地蔵さんのセリフ、雲月さんのセリフ、そのほか慎吾の心情とかいろいろ
ところどころで胸に刺さってきたなあ…。
『夏美のホタル』
森沢 明夫/著 角川文庫
※森沢さんのツイッターで、『夏美のホテル』とか『夏美のホタテ』などと間違える人がいるってあって、
それ読んだときなんか想像しちゃって思わず笑ってしまった。パロディーができそう。
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