ロボットインザガーデン*ちょいネタバレしてるかも。
先日読み終わった小説がなかなかステキな物語だった。
ちょっと未来のイギリスが舞台の、SFもの?…という感じはあまりしないロボットもの。
そこはアンドロイドが人間の生活をサポートしている世界。
でも、アンドロイドは何でもできる、というワケではなくて
料理に特化しているタイプや、運転に特化できるタイプ、洗濯ができるタイプ、といった感じ。
それでも役には立っているから、旧式のいわゆる四角い頭と体とホースみたいな腕を持ち、
特に何ができるというワケではないロボットの「タング」はアンドロイドに見下されたりして、
でも、それをタングは”感じとったり”できるからある種”特別”、唯一の”ロボット”。
突然旧式のロボット:タングが庭に現れたことで、家主のベンはキャリアウーマンの妻になんとかしろとせっつかれ
かといって何もする気が起きないベン(とりあえず両親の遺してくれた財産で生活中)に、
妻はとうとう愛想をつかし出て行ってしまう…。
前半は、本当になんというかダメ夫ぶり大発揮のベンに読んでるこっちもため息ものなのだけど、
タングを特別なロボットだと、作り主の元へ届けようと旅に出たベンとタングの道中を見守るうちに
知らずに応援したくなってくるというか、タングのかわいらしさが伝わってくるというか。
こういう物語のラストって、信頼関係を築いたベンとタングに別れが来たりするんじゃないか、と不安だったけど
そんなこともなくハッピーエンドで終わってくれたのが良かった。
そう、これから彼らはもっともっときっと幸せになるんだろうなあって思わせてくれたから
読み終わって、ああ読んで良かったなあ、って思えたんだろうなあ。
翻訳ものってなんとなく違和感みたいなものが多かれ少なかれあったりするんだけど
この小説には、それもあまり感じなかった。
ただね、それはそれでよかったんだけど、
タングを作った天才エンジニアさん意外にあっさりあきらめるんだな、と。
絶対追っかけてくると思ったんだけど…。
『ロボット・イン・ザ・ガーデン』
デボラ インストール:著 松原 葉子:訳
小学館文庫
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