なんとも、なんとも…。
この本を読みたいと思ったとき、
何をもってそう思ったのだろうと、我ながら覚えていない。
新聞の新刊案内か広告欄のコピーで読みたいと思ったのだろうけれど、
時間が経ちすぎてはっきりしない。
図書館に予約して何か月か経ってやっと順番が回ってきたもの。
さすが人気作家さんの作品。
すでに次の予約者がいるから延長不可のしおりがついていた。
でも、そんなしおり不必要なくらい、
一度読み始めたら、先が気になって―
…いや、気になってという感覚とはちょっと違うかもしれない。
とにかく結末まで読み終えたくてソッコーで読み終えてしまった。
主人公は「バラカ」という名の少女。
でも上巻では、彼女が物心つくまでにどんなことが起きたのかが描かれている。
出てくる「川島」という男がとても悪魔的でとても怖い。
そして東日本大震災を描いてもいるのだけど、実際よりもっとひどい状況だったという設定となっている。
安らぎを得たと思った瞬間に、突き落とされる10歳の少女の苦難が読んでて辛い。
それだけに、幸せを掴むだろうと信じたくて、とにかくページをめくったわけだ。
はたして結末は…。
うーん、絵にかいたような、思い描いたようなハッピーエンドを描いてはくれなかった。
決して悲劇で終わったわけでもないのだけど…。
ワタシの中での印象は「ホラー」。特に上巻は。
『バラカ』上・下巻
桐野 夏生 著
集英社文庫
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