君たちは絶滅危惧種なのか?
『君たちは絶滅危惧種なのか?』
森 博嗣
講談社タイガ
WWシリーズ5作目。国立公園内の動物園で警備員が襲われる事件(事故?)が発生、同じ時期に近隣の湖で釣り人も襲われる事件(事故?)が発生していた。情報局からの依頼により調査に赴いたグアトとロジは昔の宮殿を模した施設に案内される。そこの地下の研究室で違法と見られる研究が行われているという噂があった…。
”人間”がある意味”永遠の命”を得られるようになった世界で、その反動か種を残すことができなくなり、AIやロボット、ウォーカロンが人間にかわって”働いている”世界。人々はヴァーチャルに移行し、リアルな体は煩わしいとさえ感じる者も出てくるようになる。実際に絶滅した動物でもデータさえあればヴァーチャルで再現できるし、リアルでもロボットで再現可能。そうなると果たして”絶滅”と言えるのか?そして、ヴァーチャルへ移行してゆこうとする人間は”絶滅危惧種”なのではないか?そもそも絶滅を止めなければならないほどリアルに存在する価値とは?そんな問いが投げかけられている気がした。倫理的、哲学的思考に思いをはせるシリーズである。