明日は、いずこの空の下

『明日は、いずこの空の下』
上橋 菜穂子
講談社文庫
ファンタジー小説の作者として知られ、また文化人類学者でもある著者の海外経験に関する短編エッセイ集。
作品を読んだことはないのだけれど、ドラマ化されたものを見たことがあって、その印象ではもっと”厳しい”感じを想像していたのだけれど
(作者さんや書くものに対して)、このエッセイを読むと、とてもふんわりと優しくて謙虚でおしつけがましいところがないお人柄がうかがえて好感が持てた。学者さんとしていろんな場所でフィールドワークをこなし、様々な経験や人々との交流、それがまた作品に生かされているのだろうなあと思う。好奇心を持つことは大事だと改めて思い、その行動力が羨ましいと感じずにはいられない。
ひとつひとつのエピソードが数ページで、優しい語り口でコミカルに描かれているのでとても読みやすい。すぐに読み終わってしまいそうなのがもったいなく感じてしまって、1ページ1ページをゆっくりしっかり味わいたくなるようなエッセイだった。