ベルリンは晴れているか

『ベルリンは晴れているか』
深緑 野分 著  ちくま文庫
第二次世界大戦時のドイツが舞台。両親を亡くし米占領下の食堂で働く17歳の少女アウグステは突然恩人の殺害容疑をかけられロシア占領地に連行される。アウグステは、空襲にあった直後に恩人の館を訪れた際恩人の甥を見かけていた。彼女の話を聞いたドブリギン大尉の命令に従いアウグステは彼を探すため、元俳優だというカフカと映画の町バーベルスベルグへ向かう…。
物語の基本はバーベルスベルグへ向かうアウグステの道中だが、もうひとつの筋として彼女が生まれてからのストーリが”幕間”として挿入される。ヒトラー政権下のドイツについてはもちろん知らないわけではないが、改めてその惨状を知り、やっぱり一番怖いのは「人間」だと思った。読むのが怖いけど読むことを止められない、そんな1冊だった。(何が怖いって、描写もそうなのだけど、自分がその場にいたら果たしてアウグステの両親のようにいられるか?周りに合わせちゃうんじゃないか?と思うと怖くて仕方なかった。)最後の最後までよめない展開なので完読絶対です!