キャサリンはどのように子供を産んだのか?
『キャサリンはどのように子供を産んだのか?』
森 博嗣
講談社タイガ
WWシリーズ3作目。天才科学者キャサリン・クーパー女史の研究所を訪れていた検事局の8人の職員が女史とともに姿を消した。女史には国外への機密漏洩の容疑がかけられていたが、重篤な疾患を抱えていた女史は特別な生命維持装置がなければ外に出ることができず、研究所の防犯カメラ等にも女史をはじめ何者も研究所を出たという記録はなかった。研究所のすべてを維持管理していたとみられるAI、ゾフィーの話を聞くために協力を要請されたグアトは、女史が”子供を産んだ”という話を知り、その子も消えていること、状況がずっと昔にあったマガタ博士の事件と似ていることに興味を覚えるのだが…。
謎は密室からの消失、なのだけれどもその解決の物語かというとなんとなくそれがすべてではない感じがした。Aiやコンピュータがあふれているこの”舞台”ではどうとでもなるといえばなるからで、結局は”なぜそんなことをしたのか?””そこに何の意味があるのか?””そもそも「存在する」ということの定義とは?”というような哲学的な問いが主題なような気がした。このシリーズは理系的で哲学的だ。