命売ります

『命売ります』
著者:三島 由紀夫
ちくま文庫
自殺に失敗した元コピーライターの羽仁男は、新聞に「命売ります」と広告を出す。「死」に恐怖を感じることのなかった羽仁男だったが、彼の命を”買った”「客」の依頼にこたえつつ、何故か生きながらえていく。他者からの「死」を追い求めていた羽仁男が、「死」に追いかけられるようになった時、まざまざと押し寄せる恐怖にとてつもない「生」への執着を感じ始める…。
ある時点で羽仁男の中で「死」というものに対する思いが逆転していく。はじめは浮世離れした不思議な男がラストには野暮な人間臭さにあふれてくる。あまり読んだことはないのだが、”三島”らしい作品だな、などと根拠もなく思ってしまった。