みちびきの変奏曲
『みちびきの変奏曲』
内山 純 著
中公文庫
無差別殺傷事件の犠牲者・清藤真空の最期に居合わせた棚橋は、真空が息を引き取る寸前に繰り返していた指の動きに意味があるのではないかと感じ、生前の真空とゆかりのあったと思われる人々を探し訪ねる。ひとり、またひとり、みちびかれるようにやがて彼女が棚橋に伝えたかったと思われることが見えてくると同時に、棚橋をきっかけにそれぞれの人々にも新たな起点が訪れる。
衝撃的な事件が発端のわりに物語の雰囲気は優し気。でも内容はよくよく考えると軽めでもない。真空の意図が分かって謎解き終了、みんな円満ハッピー・・・と思いきや、棚橋にもいろいろあって、そうくるか…というラスト。ライトなようで結構ディープ。でも優しい。読みだすと気になって読みふけって、時に涙があふれそうになる。