MOMENT

『MOMENT』
著者: 本多 孝好 角川文庫
病院の清掃員のバイトをしている大学生の「僕」。その病院には余命いくばくもない患者の間で回る噂があった…。
きっと頭脳明晰でそつなく何でもこなせると思われる「僕」こと神田くんは、将来にも就職活動にも興味が湧かないどこか冷めた青年だけど、”余命”を生きる患者さんたちと触れ合い、思いや願いを聞いたりして少しずつ変わってきたのかもしれない。具体的にそういう記述があるわけではないが、最後まで読んでそう思った。さすがに明るい話ではないけれど、かといってものすごく重く暗いだけの話でもない。
”死を直前に感じたとき、自分は誰を思い何を考えているのだろうか”と自然と思いをはせる、そんな小説だった。