森から来た少年

『森から来た少年』
ハーラン・コーベン
小学館文庫
タイトルから、ワイルド(34年前森の中でたった一人で生きていたところを発見保護された男)の、生い立ちの謎がメインの小説かと思ったが違った。ワイルドが主人公の一人であることは確かだけれど、物語はいじめられていた少女の失踪から始まり、無事見つかった少女が再び姿を消し、さらに有名TVプロデューサー・バーナードのひとり息子で人気者の少年も同時期に姿を消す。彼の両親からの依頼でワイルドと、彼の事故死した親友の母親で有名な刑事弁護士のヘスターが解決に乗り出す。ただの家出かもと思われたが、バーナードと親しい次期大統領候補の反対勢力が関係している可能性も出てきて…。
とにかく相関関係が入り乱れ、どこが主軸でどれが伏線?と考えながら読んでるうちに訳が分からなくなって推理は放棄した。読むがままに任せていると、ラストは「え、やはり主役はワイルドか。で、そうなるのかー…」と。ロマンスものと読めなくもないかも。
一番気の毒のなのは無実の罪で投獄されている人物。ヘスターに救ってほしかったなあ。
ところで、翻訳モノって”どーでもいー所”に妙にこだわった描写があることが多く、正直”うざっ”て思ってしまうことが無きにしも非ず。この小説も例外にもれず、厚さはそのせいなのでは?と思ったりして。