おいしくて泣くとき

『おいしくて泣くとき』
著者: 森沢明夫 角川文庫
中学生の心也の父が営む大衆食堂では、希望する子どもたちに食事を提供する「こども食堂」活動をしている。そこには心也の幼なじみの夕花や同級生で不良の石村の姿も…。大好きだったサッカーを膝の怪我でやめざるをえなかった心也、クラスの女子からいじめられいつもひとりの夕花、石村に関しては詳しいことは書かれていないけど彼も複雑な事情がありそう。思春期の彼らの物語と、同時進行で、やはり「こども食堂」をやっているカフェのマスターとゆり子さん夫妻の物語が描かれる。てっきりハッピーエンドとなると思いきや、のところで「どうなるの!?」という展開、で「あ、そうくるかー」というまた違った”奇跡”のラスト。途中までつらい所が多かったけど、森沢作品らしい爽やかで温かい人々のストーリーだった。