陰陽師 烏天狗ノ巻
『陰陽師 烏天狗ノ巻』
夢枕 獏
文藝春秋
「陰陽師」シリーズ最新巻。今回も期待を裏切らない世界観。ページをめくれば雅と妖の雰囲気漂う平安王朝絵巻の物語に引き込まれる。
移り行く季節を庭の樹木や花や虫たちで感じながら、ほろほろと酒を飲む晴明と博雅が良い。悪役の雰囲気を持ちつつ何を考えているか分からない、悪でも正でもなくうまい酒が飲めればいいと飄々と流れている道満が良い。
電車の中で読んでいたけれど、ゆっくりと落ち着いて味わいたくなる作品だと感じた。そう、陽だまりのリビングや雰囲気のいい喫茶店で美味しいお茶を頂きながら、とか。 今回の話はそれほど血なまぐさくも生々しくもない感じのが多かったから余計そうかんじたのかも。