千年鬼

『千年鬼』
西條 奈加
徳間 文庫
深い山の中、赤ん坊の弟を探しているという人間の少女・民は赤い肌緑の髪の小鬼と出会う。 人間の目には見えないはずの小鬼の姿がなぜか民には見え、小鬼は民とずっと一緒にいたいと思うようになり弟探しに協力するが、それと知らずタブーを侵しでしまう。
民が輪廻を外れ地獄に落ちてしまう宿業から救うため、千年の時を巡り”鬼の芽”を探す…。
一途な小鬼がかわいくも切ない。鬼の芽を宿す人間たちそれぞれの物語がつづられているが、それもまた切なかったり重かったり厳しいものだったり。扉絵や中のイラストはかわいいし、語り口はおとぎ話や昔話のようだが、いろいろ考えると結構深い。
ラストも希望が見えるような終わり方ではあるが、期待していたようなハッピーエンドとは違った。