短編宝箱

『短編宝箱』
集英社文庫編集部編

 人気作家さんの短編が収録されたアンソロジー。書下ろしではなく雑誌などに掲載された短編を集めたものらしい。だからシリーズのスピンオフものもあるようだけれど、特に分かりづらいといったことはなく、すべて面白かった。さすが。以下収録作品。
「小さな兵隊」伊坂幸太郎、「正雄の秋」奥田英朗、「ロックオンロッカー」米澤穂信、「それぞれの仮面」東野圭吾、「星を見ていた」桜木紫乃、「きえない花の声」道尾秀介、「足跡」島本理生、「閨仏」西條奈加、「遠くから来た手紙」荻原浩、「無言歌」浅田次郎、「エンドロールが始まる」朝井リョウ
どれも短編なのに、いや、短編だからこそなのか、ウィットにとんでいて面白かったし読みやすかった。個人的に特に気に入ったのは「ロックオンロッカー」。ひょうひょうとした高校生男子二人が”傍観”していたある事件の話。「星を見ていた」はラストがなんともいえなく無情な心情になり、「きえない花の声」はどんでん返しあり、これまたなんともいたたまれないというか…というラストだった。