リアルの私はどこにいる?

『リアルの私はどこにいる?』
森 博嗣
講談社タイガ
 WWシリーズ6作目。ほぼヴァーチャル世界で生活していたクラーラという女性からリアルの体が行方不明のため捜索してほしいと依頼されたグアト。リアルでクラーラとされているボディはウォーカロンと判定されており、自分は人間であるからそのボディは以前交通事故で入院した際に入れ替わったものだと主張するクラーラ。それが事実なら果たして誰が何の目的でそんなことを行ったのか?あるいはクラーラはそう思い込んでいるだけのウォーカロンなのか?
 物語上でもリアルとヴァーチャルの境目がいよいよ曖昧になってきて、グアトがいる場所は今どっちだったかと気を抜いていると分からなくなる。倫理観、哲学的思想、世界観、いろいろな価値観によって感じ方が変わるシリーズだと思う。